非業の死…有名ブロガー『Hagex』殺人事件を振り返る







6月24日、福岡市内で会社員の岡本顕一郎さん(享年41)が福岡市の無職・松本英光容疑者(42才)に刺殺される事件が起きたました。

岡本さんは上半身数十か所を刺され、その凶刃は心臓にまで達していたものもありました。

原因はネット上でのトラブルであり、『2ch』創設者のひろゆき氏は

「見ず知らずの他人がネット上のトラブルで殺人事件にまで発展した、初めてのケースではないか」

と発言しています。

【漫画】Hagex殺人事件

Hagex殺人事件

Hagex氏が殺害されたその日、彼は旧大名小学校跡地の起業家支援施設で『100万PVブログ達成への道』の講演会を行っていました。

松本被告はこの施設に侵入、待ち伏せしており、公演が終了したあと、松本被告はトイレに入った岡本さんを刃物で殺害したもようです。

事件から約3時間後、松本容疑者は福岡市内の交番に出頭。殺人と銃刀法違反容疑で逮捕されました。

「ネット上のやりとりで恨みがあった」と供述しているといいます。

 

Hagexとは

氏名:岡本顕一郎(おかもとけいいちろう)

年齢:41歳

住所:東京都江東区東雲

職業:インターネットセキュリティー会社員

2004年からブログを開始し、総記事数は2万6000、自称「三度の飯よりインターネットが大好きなネットウォッチャー」。

著書『闇ウェブ(ダークウェブ)』『2ch、発言小町、はてな、ヤフトピ ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い』など発売しており、闇社会や反社会勢力へ切り込んだ記事を多く取り扱っていました。

また、Hagexこと岡本さんはネットセキュリティ会社『スプラウト』の創設にも参画、編集長を務め、自身の経験を活かしITセミナーとしても活動。

その応用力とセンスの高さを見せていました。

 

低能先生

氏名:松本英光 (まつもとひでみつ)

年齢:42歳

住所:福岡市東区筥松1丁目

職業:無職

ラーメン屋でアルバイトとして働いていたのですが登用という形で正社員となり、2015年まで勤務していました。

最終学歴は九州大学卒業で、専攻はイスラム文明。

九州大学は偏差値75程度で、九州きっての難関大学です。

成績は優秀でしたがガリ勉タイプというわけでもなく、中学ではテニス、高校では剣道などと、非常に活発な人物であることが伺えます。

 

犯行に至った経緯

松本英光容疑者はネット上ではてなブログ(以下はてブ)利用者に対して『低能』と罵るメールやコメントなどで相手に粘着することから『低能先生』とも呼ばれていました。

被害にあったユーザーは運営に報告、運営はアカウント凍結などの処置をするのですが、低能先生は都度アカウントを変えユーザーらへの粘着を繰り返します。

そんな中、低能先生はHagexへ粘着。

これを受けHagexは運営に通報することをブログに公開しました。

そのやり取りの内容は

「低能先生か……最近まで低「脳」先生だと思っていた。」4/18

「そろそろ低能先生被害者だけで、立派なオフ会が開けるんじゃないか。」4/19

「毎回通報してます。」4/30

「低能先生に対するはてなの対応が迅速でビックリ」5/2

これにより低能先生はネットリンチ状態に。

低能先生の怒りはHagexへ向けられるのですが、

「ネットウォッチ勉強会「かもめ」#2を福岡で開催します」5/25

とHagexはブログ内でイベントを告知します。

低能先生こと松本容疑者は福岡在住、事件のあったセミナーは福岡市内で行われました

 

煽るネット民

低能先生(?)を犯行に駆り立てた記事があります。

「安倍botや低能先生の存在を放置する株式会社はてな」6/18

これに対し

「そらネットでの発言の場所が奪われたらリアルで行動を始めるからだろうなw

まあお前はそっちをお望みなんだろうが

俺もネット弁慶は卒業べきと考えている」

とレスが。

低能先生と思われるのであって、本人かどうかはわかりません

しかしこのレスに対して

「低能の願望通りには世の中動かないんやでw」

の返答が…さらに

「じゃあ行動してみろよ

早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く」

その他にも東海道新幹線の車内で起きた殺人事件の犯人が低能先生であるかのような書き込み複数あったほか、「低能先生に人を殺せるわけがない」なども。

 

犯行後殺害したことを報告する記事を投稿

犯行後松本容疑者は自転車で逃走しましたが、その3時間後警察に出頭しました。

出頭までの3時間の間に「ネット弁慶を卒業した」という内容の記事をはてな匿名ダイアリーに投稿しています。

「おいネット弁慶卒業してきたぞ

改めて言おう

これが、どれだけ叩かれてもネットリンチをやめることがなく、俺と議論しておのれらの正当性を示すこともなく(まあネットリンチの正当化なんて無理だけどな)

俺を「低能先生です」の一言でゲラゲラ笑いながら通報&封殺してきたお前らへの返答だ

「予想通りの展開だ」そう言うのが、俺を知る全ネットユーザーの責任だからな?

「こんなことになるとは思わなかった」なんてほざくなよ?

ただ引きこもりの42歳はここで体力が尽きてしもうた

事前の予定では東京までいってはてな本社にこんにちはするつもりだったが、もう無理

足つってるし

なんだかんだ言ってはてなというか増田※が俺をネット弁慶のままで食い止めていた面もあるしなあ

逆に言うと散々ガス抜きさせてもらった恩がある

はてブと通報中には恩など欠片もないが

てことでこれから近所の交番に自首して俺自身の責任をとってくるわ

足つってるから着くまで30分くらいかかるかも」

※増田とは匿名ダイアリーを指す隠語です

 

ネットリンチの恐怖

今回の事件は一言も言葉を交わしたことのない、見ず知らずの赤の他人同士の間で起きた悲劇です。

ネットの世界でのお決まりともいえる『寸止めルール』が通用しなかった稀有な事例といえるでしょう。

低能先生などいわれた松本容疑者は実は高学歴であり、30代後半であったのにバイトから正社員へ登用されるなど、能力が高く真面目であることを伺わさせます。

生真面目であるがゆえ、Hagexこと岡本さんが福岡でセミナーをすることが分かった時、一種の天命ににも使命感を抱いたかもしれません。

 

煽った方にも責任が?

この事件はネット、メディアで大きな波紋を起こしました。

犯行に至った松本容疑者を擁護することはできませんが、煽った方にも責任がないとは言えないかと思います。

仮に粘着被害にあった人がそう言うなら理解できなくもありませんが、果たしてそうでしょうか?

個人的な感想を言えば、この噂を聞きつけただけで、お遊び気分の何のかかわりもない第三者も必要以上に叩いたのではないのでしょうか?

 

不運な故人

なんにせよもっとも不運だったのは岡本さんです。

編集長として、ITセミナーの講師として働いている岡本さんが、粘着性の高い『荒らし』を記事として扱うべきではなく、無視するのが正解だったでしょう。

なによりこの時期に福岡市内でセミナーを開くことが事件の引き金といっても過言ではありません。

もっとも岡本さんに低能先生の所在地を知るすべはありませんが…

匿名掲示板などで自殺をほのめかし、それを煽ることで実行させてしまった、というケースは過去にもありましたが、殺人事件にまで発展してしまった今回の事件。

人の心の闇を照らしたものであり、いくら通信インフラが整ったとはいえ、見ず知らずの他人への干渉が、如何に恐ろしいものかを浮き彫りにしました。







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