著作権時効まで50年→70年へ!?著作権法の改正案、今国会へ提出

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2月9日、政府が小説や音楽などの著作権を保護する期間を原則50年から20年延長し、『作者の死後70年』とすることが分かりました。

TPP(環太平洋経済連携協定)で決めた著作権の延長を棚上げしていたのですが、今回日本も欧米らの制度と足並みをそろえることに。

これにより数年後、三島由紀夫や川端康成ら、昭和の文豪らの作品のネット上での無料公開は、さらに20年後に延期されることとなります。

ー著作者の保護期間が死後50年から70年にー

著作権法51条2項には「著作者の生存期間および死後50年までを保護期間の原則とする」とあります。

このほど、この著作権の保護期間が没後50年から70年へ延長されることとなります。

 

アメリカの要求

国旗 アメリカ イラスト

これはTPP交渉で棚上げになっていた問題で、アメリカはTPP加盟国へ映画、音楽、文芸作品の著作権を自国と同じ没後70年にすることを要求していました。

アメリカは映画や音楽に強いので、収益確保のためにも念押ししておきたいところ。

しかしトランプ政権となってから米国が離脱したため、アメリカを除く11か国(TPP11)は保護期間延長を一時棚上げに。

にもかかわらず今回政府が保護期間延長を決めたのは、OECD(経済協力開発機構)諸国の多くが死後70年としていることもあります。

政府は3月8日にTPP11に署名した後、著作権法改正案を提出する予定といいます。

うっぴー
没年が1970年の三島由紀夫、1972年の川端康成らの作品の一部は2020年、2022年にネット上で無料公開が見込まれていただけに残念です

トランプ大統領、TPP復帰を検討

トランプ大統領 イラスト

先月スイスで開催されたダボス会議にて、TPPの復帰を検討する方針を表明しました。

アメリカを除いたTPP11で話がまとまりだしたため、アメリカも無視できない状況になったためです。

もし仮にこのまま話が進めばオーストラリア産の牛肉が段階的に関税が引き下げられ、最終的には関税が9%にまで下がります。

しかしアメリカの牛肉には38.5%の関税がかかります。

これでは米畜産業界に大打撃だと関係団体がトランプ政権に働きかけていました。

 

ーJASRAC「著作権保護の時期を延長すべき」ー

今回の延長はTPP、OECD加盟国への配慮、足並みをそろえる意味がありますが、かねてからJASRAC(日本音楽著作権協会)積極的な姿勢を貫いてきました。

今回の政府案は、そうしたJASRACの意向に沿ったものと受け取っても問題ないと思います。

2013年11月28日、当時のJASRAC会長の都倉俊一氏はインタビューに対して、著作権の保護期間の延長に対して、次のような考えを示しました。

Q.著作権保護期間を延長する意義について

OECD(経済協力開発機構)加盟34カ国のうち、30カ国が保護期間を「著作者の死後70年まで」としている。死後50年までとしているのは日本、カナダ、ニュージーランドの3カ国だけ(メキシコは死後100年)であり、このままでは国際的な調和を乱す恐れがある。

調和を乱す、とは具体的にどのようなことか?

著作物がネットワークを通じて国際的に流通する現代において、海外著作物の保護期間が日本では20年早く失われることになる。

つまり、海外では保護されている著作物が、日本ではフリーの状態になるということに。逆もまた然りで、日本の著作物が海外では保護されているにも関わらず、日本国内では保護が終了してしまう。とてもアンバランスな状態が生まれるとともに、海外の権利者からは厳しい目を向けられる恐れがあります。

うっぴー
第二、第三の漫画村ができないとも限りません。確かに一理あるかも

Q.ミッキーマウス法

『ミッキーマウス法』とは、アメリカの著作権保護の規定はウォルト・ディズニー社の意向が強く反映しているのではないか、という指摘のことを指します。

これについて都倉氏は…

 

ひとつは、ディズニー社にとって著作物の権利を守ることは企業としての最重要項目であり、それはビジネスそのものの根幹を揺るがしかねない事実である。

著作権はあくまで個人に帰属するものであるが、ディズニー社にとっては企業の財産そのもの。何がなんでも守ろうとする意図は理解できますが、これを法律によって国際的に守っていくべきかどうかについては個人的にも難しい面があると思います。

 

ミッキーマウス法は理解できる?

単に一米企業の利益を守るため、という面においては議論すべきということです。

一方、いわば米国の国民的キャラクターであるミッキーマウスやドナルドダックが保護期間終了とともに蹂躙されていいものなのかどうか、という文化保護的側面からいえば、断固として守られるべきと考えます。

 

日本にとっても他人事ではない?

海外で人気を博している日本発のキャラクターが、数10年後に著作権フリーとして自由に扱われるようになれば、国民として愉快な事態ではないはずです。

将来的に多くの「日本文化」が守られることを考えれば、現在、保護期間を延長して諸外国との調和を図ることにも理解が得られるのではないかと思います。

Q.著作権がフリーになれば商業的メリットになるのでは?

一時期、日本では著作権保護期間の過ぎた古い海外映画作品が安価で販売されていましたが中身をみても、音量調整や映像の乱れなど、劣悪コピーそのもの。

やはり、しかるべき業者がしかるべき手続きを踏まずにビジネスをすることで、作品そのものの価値をおとしめてしまう。

 

二次創作を阻害し、クリエイターの育成を阻むのでは?

自分の専門である音楽の分野でいえば、そもそも「似せて作った」という判断自体が難しい。似ているといえば似ている、と言えるケースはあるでしょうが、その判断基準は主観に委ねられる。

ただ厳しいことを言わせてもらえば、独創的なメロディを生みだし、後世に影響を与えることができるのは一部の人間であり、著作権フリーになった楽曲を真似ることで創作活動に励んでいる人材を育成したところでクリエイターの底上げにはつながらない、ということ。

少なくとも、保護期間延長の是非に関わるような話ではないでしょう。

うっぴー
『のびハザ』のようなスマホゲーも人気を博したものです。

コラボやアバターなどクリエイトの幅が広がるという考え方ができないものでしょうか?

保護期間中の作品について現権利所有者を探し出すのが難しい

これは現在進行形のまっとうな商売における課題なのでよく理解できます。

放送局などから「本当に大変だ」という声も聞きました。

私の立場として何か申し上げるのは難しく、現時点では「がんばって権利所有者を探して交渉してください」としか言えません。

一方、現権利所有者が創作者自身であるかのごときふるまいで交渉をこじらせるようなケースが生まれていることについては違和感を覚えます。

権利の継承者もまた「文化の保護」であることを十分に理解した上で継承すべきでしょう。

うっぴー
ブーメラン

Q.最後に改めて、保護期間延長の意義について

創作者の立場からするとおこがましい意見になりますが、文化というのは「感謝」されるべきもの。

「感謝」の精神があってはじめて成熟していくものです。

うっぴー
お偉方はみな口を揃えて「感謝」「感謝」というね…

保護期間が終了した作品を劣悪コピー販売したり、キャラクターを自由に蹂躙したりすることは「感謝」の足りない行為であり、それらを望んで歓迎するというのは極めて民度の低い行為であると自覚していただきたい。

一方、日本人はそうした「感謝」の精神を十分に理解できている国民性であるとも考えています。

ただ理解できている分、成文法として押しつけられると反発したくなる。これはよくわかります。JASRACを含め、認識を深めていただけるよう努力していく必要があるでしょう。

引用、参考 CNET JAPAN

はたしてこれらが超強硬姿勢の理由になるのか?

確かに言ってることは筋が通っているようにも思えますが、これが近年のJASRACの強硬姿勢に結びつくかについては疑問視せざるを得ません。

ヤマハの音楽教室への著作権の徴収に始まり、映画の著作権の徴収料(実質)引き上げなど、立場の弱い弱者から搾り取ることにやっきになっている、というのが僕の本音です。

 

今後はどうなる?

今回の政府の保護期間の延長はJASRACのためだけに行ったものではないでしょう。

しかし、ネットの反応を見るに、やはり目に付くのがJASRACの存在です。

「20年後また20年延長されそう」「そのうち永久保護になりそう」など、なるほどもっともらしい意見もありました。

JASRACは世界中の著作権保護団体とパイプが太く、かなり盤石な組織体制といいます。

釈然としない部分はありますが、世の流れをみると、今回の保護期間の延長もやむを得ないかもしれません。







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